中小企業の経営者は、事業全体を総括管理する経営者である一方、労働者と共に現場作業、事務などの業務に就いていることが多い現状から、特別加入制度への加入を通じて労災保険への加入が認められています。
特別加入制度を通じて加入するには条件があります。中小企業経営者(中小事業主)は、以下の事業規模であることに加え、労働保険事務組合に労働保険事務処理を委託する必要があります。当然、その事業について労災保険が成立していることが前提となります。
<特別加入できる事業規模>
原則は、常時使用する労働者が300人以下、卸売業・サービス業は、常時使用する労働者が100人以下、金融業・保険業・不動産業・小売業は、常時使用する労働者が50人以下となります。
労働者を雇うことなく、事業主自らが事業を行う一人親方、その他自営業者およびその事業に従事する方も労災保険に特別加入することができます。
以下の事業を行う方が特別加入できます。
- 自動車を使用して行う旅客または貨物の運送事業を行う方(個人タクシー業者や個人貨物事業者など)
- 建設事業を行う方(大工、左官、とびなど)
- 漁船による水産動植物の採捕の事業を行う方
- 林業の事業を行う方
- 医薬品の配置販売を行う方
- 再生利用の目的となる廃棄物等の収集、運搬、選別、解体等の事業を行う方
以下の海外派遣者が特別加入できます。
- 建設などの有期事業を除く、開発途上国・地域に対し、技術協力実施の事業を行う団体から事業実施のために派遣される者
- 日本国内の事業主(建設などの有期事業は除く)が、海外で行われる事業に従事させるために派遣する者
ここで注意したいのは、留学や出張で海外に行く者については、通常の労災保険が適用されるということです。
通勤災害につきましても、一般労働者の場合と同様に取り扱われます。ただし、以下の事業に携わる一人親方は、住居と就業場所との間の往復の実態が明確でないため、通勤災害の保護の対象とはなっていません。
- 自動車を使用して行う旅客または貨物の運送事業を行う方(個人タクシー業者や個人貨物事業者など)
- 漁船による水産動植物の採捕の事業を行う方